「確定申告を丸投げしたい」「節税のアドバイスが欲しい」「会社の経営について相談したい」「相続の手続きが分からない」…様々な理由で税理士を探している方がいらっしゃるでしょう。
税理士は、税務の専門家として、正確な申告や節税はもちろん、経営の安定化や事業の成長、円満な相続をサポートしてくれる頼れる存在です。しかし、「税理士なら誰でも同じ」ではありません。税理士にもそれぞれ得意分野があり、料金体系やサービス内容、そして何より「人としての相性」も異なります。
自分に合わない税理士を選んでしまうと、「相談しにくい」「レスポンスが遅い」「期待していたサービスを受けられない」「料金が高い」といった不満につながりかねません。
では、どうすれば自分にとって最適な税理士を見つけることができるのでしょうか?
この記事では、税理士選びで失敗しないために押さえておくべき探し方のステップ、重要なチェックポイント、気になる費用相場まで、網羅的に解説します。
STEP1: なぜ税理士が必要か?目的を明確にする
まず最初に、「なぜ税理士に依頼したいのか」「具体的に何を依頼したいのか」を明確にしましょう。目的によって、探すべき税理士のタイプが変わってきます。
- 顧問契約(継続的なサポート):
- 毎月の記帳代行、試算表の作成
- 決算申告
- 節税対策のアドバイス
- 経営相談、資金繰り相談
- 税務調査対応
- スポット契約(単発の依頼):
- 年に一度の確定申告のみ
- 相続税申告
- 贈与税申告
- 会社設立の手続き
- 事業承継の相談
- 特定の税務相談
例えば、「確定申告だけ安くお願いしたい」という場合と、「経営全般について相談できるパートナーが欲しい」という場合では、適した税理士は異なります。
STEP2: 税理士を探す方法
依頼したいことが明確になったら、次は税理士を探します。主な探し方は以下の通りです。
- 知人・経営者仲間からの紹介: 実際に利用している人の声が聞けるため、信頼性は高いですが、その税理士が自分にも合うとは限りません。
- 金融機関からの紹介: 取引銀行などからの紹介。比較的しっかりした事務所が多い傾向がありますが、選択肢は限られます。
- 商工会議所・商工会からの紹介: 地域に根差した税理士を紹介してもらえることがあります。
- インターネット検索:
- 税理士紹介サイト: 地域や得意分野で絞り込めますが、手数料が発生する場合や、サイトに登録している税理士しか見つからないデメリットも。
- 税理士事務所のウェブサイト: 各事務所の強みや特徴、料金などを直接確認できます。情報収集の基本です。
- Googleマップ検索など: 「地域名 税理士」で検索し、近隣の事務所を探す。
- 税理士会の無料相談: 各都道府県の税理士会が実施している無料相談会で、簡単な相談をしてみるのも良いでしょう。
STEP3: 税理士選びの重要チェックポイント10
候補となる税理士が見つかったら、以下のポイントをチェックして比較検討しましょう。初回相談(無料の場合が多い)などを利用して、直接話を聞くのがおすすめです。
- 資格・登録: まず大前提として、税理士資格を持っているか確認しましょう(税理士証票の提示を求めることも可能です)。
- 専門分野・得意分野: 税理士業務は幅広いため、全ての分野に精通しているとは限りません。「相続税に強い」「医療業界に詳しい」「IT・Web業界専門」「国際税務が得意」など、自分の業種や依頼内容に合った専門性を持っているか、ウェブサイトや面談で確認しましょう。
- 実務経験・実績: 特に相続、事業承継、組織再編、税務調査対応など、複雑な案件や高度な専門知識が求められる場合は、同様の案件を扱った経験や実績が豊富かどうかが重要です。
- コミュニケーション・相性: 長く付き合う可能性もあるため、相性は非常に重要です。
- 説明は分かりやすいか?専門用語を多用せず、こちらのレベルに合わせて話してくれるか?
- レスポンス(電話、メールなど)は早いか?
- 気軽に質問できる雰囲気か?威圧的ではないか?
- 経営の悩みなども親身になって聞いてくれそうか?
- 料金体系の明確さ:
- 料金プラン(顧問料、決算料、スポット料金など)が明確に提示されているか?
- 契約に含まれるサービス範囲はどこまでか?何がオプション(別料金)になるのか?
- 見積もりを事前に提示してくれるか?
- IT・クラウド会計への対応:
- freeeやマネーフォワード クラウドなどのクラウド会計ソフトに対応しているか?導入支援は可能か?
- メール、チャットツール(Chatwork, Slackなど)、Web会議システム(Zoomなど)でのやり取りはスムーズに行えるか?ペーパーレス化に対応しているか?
- 事務所の規模・体制:
- 担当者は所長税理士本人か、スタッフか?
- スタッフが担当する場合、経験年数や資格は?担当者が頻繁に変わる可能性はないか?
- 複数のスタッフがいる場合、組織的な対応力(チェック体制など)が期待できる反面、担当者との相性が合わないリスクも。
- 税務調査への対応力: 税務調査の経験は豊富か?調査の事前準備から立会い、税務署との交渉まで、しっかりとサポートしてくれるか?
- 最新情報へのキャッチアップ: 税法や関連法規は毎年のように改正されます。セミナー参加や情報収集を積極的に行い、常に最新の知識をアップデートしている姿勢があるかどうかも確認しましょう。
- 立地・アクセス(オンライン対応含む): 定期的に面談が必要な場合、事務所が通いやすい場所にあるかは重要です。ただし、近年はオンラインでの対応が可能な税理士も増えています。遠方でもZoomなどでスムーズにコミュニケーションが取れるのであれば、立地はそれほど重要視しなくても良いかもしれません。
STEP4: 気になる費用相場を知る
税理士費用は、事務所の方針、提供されるサービス内容、依頼者の事業規模や状況によって大きく異なります。あくまで目安として参考にしてください。
- 顧問契約(法人の場合):
- 月額顧問料:3万円~10万円程度(売上規模、記帳代行の有無、訪問頻度などによる)
- 決算料:月額顧問料の4~6ヶ月分程度
- 顧問契約(個人事業主の場合):
- 月額顧問料:1万円~5万円程度
- 決算料(確定申告料):5万円~15万円程度
- スポット契約(例):
- 確定申告(個人):3万円~10万円程度
- 相続税申告:遺産総額の0.5%~1.0%程度が目安(最低料金設定あり)
- 会社設立:10万円~20万円程度(司法書士費用等別)
注意点: 安さだけで選ぶのは危険です。料金が安い代わりにサービス内容が限定的だったり、担当者の経験が浅かったりする可能性もあります。費用対効果をしっかり見極めましょう。
STEP5: 契約前の最終確認
いくつかの税理士事務所と面談したら、以下の点を確認して最終的に依頼先を決定します。
- 比較検討: 各事務所のメリット・デメリット、担当者との相性、料金などを比較し、最も自分に合うと感じる税理士を選びましょう。
- 契約内容の確認: 契約前には必ず契約書を作成してもらい、以下の内容をしっかり確認しましょう。
- 業務の範囲(どこまでやってくれるのか)
- 報告の頻度や方法
- 料金(顧問料、決算料、追加料金が発生する場合など)
- 契約期間
- 解約条件、守秘義務
まとめ:納得できる税理士選びを
税理士選びは、あなたの事業や財産、そして将来に大きく関わる重要な決断です。手間を惜しまず、複数の候補を比較検討し、「この人になら安心して任せられる」と思える税理士を見つけることが、失敗しないための最大のポイントです。
税理士事務所のウェブサイトなどでは、得意分野や料金体系、対応可能なコミュニケーション方法などの情報が公開されていることが多いです。例えば、香川県仲多度郡多度津町の北村嘉章税理士事務所 ZOOM対応可能 のように、所在地やオンライン対応の可否を明記している事務所もあります。ご自身のニーズに合った税理士を見つけるために、積極的に情報収集を行いましょう。
この記事が、あなたの税理士選びの一助となれば幸いです。